She Said She Said by Sally

イラストコミック描いてます

みずうみ 7



その時 大地が震えんばかりの
凄まじい音が あたりに鳴り響きました

若者は 目を閉じ自分の手で耳をふさぎました
いったい何が起こったのか
すぐには理解できませんでしたが
ふと女神に目をやると そこには

顔全体が 大きく開いた口となって 揺らいでいる女神の姿が
そして そこから 幾重にも重なった空気の層が放たれていました

若者は 空気の圧力に その轟音に押しつぶされそうになりながら
必死で堪え 女神を見ていました


大地を揺るがす その轟音は 女神の笑い声だったのです


ウアッハハハァー アッハハハハー
ハァッハハー ハッハハー
ハハハッー ハハ ハァ ハァ ハァ…


女神の瞳には うっすらと涙がまじり
少し苦しそうにお腹と胸を両手でさすっています

フ ハ ハァ ハァ こんなに お腹の底から 笑ったのも本当に 久しぶり
前にこのように笑ったのは もう何百年前になるのやら

愚か者よ これは 私個人からの慈悲
お前の命の 残された時間は 後 21年

私は しっかりとお前を見ていよう
見守るのではありません 勘違いせぬよう

お前が その人生を終える時
まだ 我々神々を 明確に否定するのであれば

そこから お前は 我々の窺い知れぬ
無の世界へと行くことになる

その時は 慈悲の心で お前を見守ってやりたいが
そこは 我々の力が 及ばぬ領域

そう言うと 女神は 静かな笑みをたたえ
みずうみの中へ 消えていこうとしています


せいぜい 深く考察するのですね
21年という時は アッという間ですよ


女神は みずうみの中へ 消えていきました


静まりかえった 辺りを見回すと
若者は 大地よ震えよ とあらんかぎりの力で
思いっきり声を張り上げました


アアアアアアアアアアァーーー
ゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーー


しかし 大地が 震えることはありませんでした

フゥと もう一度 辺りを見渡し
若者は みずうみを あとにしました



Fin






  1. 2017/07/09(日) 00:14:25|
  2. みずうみ

みずうみ 6



女神さんたちも いろいろ学んで 進化して
創造主に 会いたいんでしょ?

でも たぶん無理だと思うよ

ボクらと同じで
自分たちの 立場を守るのに
必死みたいだものね

そんなセコい意識に囚われてちゃダメだと思うな


ボクは 今確信してるんだ

ボクは この世界の 本当の創造主に会えるって
そして 一体となる

おぼろげながら見えてきたんだ
真の永遠が

あなたたちの永遠は ただの繰り返しみたいだけどね



その時 大気を切り裂かんばかりの凄まじい轟音が
辺りに鳴り響きました






  1. 2017/07/08(土) 00:17:59|
  2. みずうみ

みずうみ 5


フフ ボクを殺そうというんだね
かまわないよ 逆にボクが言ったことの
何よりの 証明になる

神々もボクらと同じで
簡単で短絡的 世界を暴力で支配するしか能がないってこと

つまり あなたたち 神々が持っている
本当の力なんて ただたんに 相手に恐怖を植え付ける
それだけのものでしかないってことさ


女神は 若者に向けた手はまだそのままに
じっと若者を見つめています


… 勇敢なのか 無謀なのか

愚か者よ お前は 我らからみれば
ヨチヨチ歩きの幼子にすぎません

言葉も理解せぬ幼子に
学問を教えても無駄というもの

お前は もっともっと あらゆることを経験し
学ばなければなりません


そうかな? これ以上何を学んだところで
同じことの繰り返し 堂々巡りだと思うけど

ヒエラルキーとか天上界だとか
そんなものに 囚われてるから 先に進めないんだと思うよ


女神の瞳が キラリと光ります
若者を指し示す その右腕は
獲物を仕留めるライフルのよう
今 まさに引き金は弾かれようとしています


ボクはここで 殺されても
何も困らないよ

ボクは ここで女神さんに会えて
はっきりと覚醒することが出来た

たとえ何に生まれ変わろうとも
ボクのこの意識はもう 変わることはない

女神さんには 感謝している

あなたたちだって
ちょっと先に行ってる知的生命体でしかないんでしょ?

ボクらは どこか未開の地の先住民みたいなもので
あなたたち神々は 先進国からやって来たようなもの


ホントは この世界の創造主ではないよね


この美しい世界をあなたたちが
創造したとは 思えないな


たぶん あなたたちが 創造できたのは
恐怖 という観念だけさ





  1. 2017/07/07(金) 00:22:56|
  2. みずうみ

みずうみ 4


この光る金の石は お前の物などでは ありません
この石は 選ばれし者への 神からの ギフト


選ばれし者への!? ハハハ

ボクが いる世界では 選ばれし者が ホントにわずかな人達が
神からのギフトを ずうっと独占しているよ!

ボクは 昔から疑問だった
選ばれし者が 神の声を聞いたという 神を見たという

でも どうして それを神だとその人は信じちゃったんだろう?

どうして その回りの人達は そのことを信じちゃったんだろう?
その人以外は 誰も神の声すら聞こえてないのにね!

ボクは ずっとインチキだと思ってたんだ
でも 今日女神さんに会って
うそじゃなかったって わかったよ!
神々は 本当にいるんだって

そして はっきり分かった!

ボクが 会いたいと思う神サマは
少なくとも あなた達ではないと…



女神は 微動だにせず まっすぐ
若者を 見据えています


ボクが知ってる 人類の歴史は
それはそれは凄惨で残酷な争いの繰り返し

正義のため 自由のため 平和のため
何年も 何十年も 何百年も 何千年も
飽きもせず ず〜と ず〜と戦っている

でもホントは 全て 一握りの 選ばれし者達の利益のため
ただそれだけのために 戦わされてるだけ

ホントに この知的生命体ってヤツは
他にやることないのかな とか思うんだけどね


でもしょうがないよね
神々も 暴力で支配するシステムしか作れてないみたいだし



愚かな… お前達人間の世界のシステムは
お前達自身で作り出したもの

神々は 何も関与していません


そうかな? 女神さんは ボクの前に現れ
選ばれし者とか言ってるよ
少なくとも この世界のシステムに
正当な理由を 与えているよね


… もうよい
お前は 生まれかわり もう一度
しっかりと学びなおすがよい


女神は そう言うと
光る金の石を持った 右手を
ゆっくりと 若者の方へ向けました







  1. 2017/07/06(木) 00:57:32|
  2. みずうみ

みずうみ 3


女神は じっと若者を見ています


… わからぬ このみずうみを訪れることができるのは
選ばれた者のみ


どうして お前のような 愚か者が


フフフ 係の人が ミスしたのかもね
人間は必ずミスをする
神々もたまにミスをするってことだね


おやめなさい その減らず口をいいかげん閉じるのです
それとも 閉じさせてもらいたいのか


フフ 本性が 現れたね


私は 愚かなお前の為に 言っているのです
己を欺くのは まだしも 神に対する暴言など許されません


ボクがいる世界はさ ただただ単純に暴力が全てを支配しているんだ
一番 野蛮で低脳 簡単なやり方

神々の世界もやっぱり同じみたいだね



… わからぬ

お前はこの金の石は お前が投げたものだと
そう言い張るのですね


そう 女神さんは全て見ている 知っている そうなんでしょう?
ボクが 投げたのは 間違いなくその光る金の石

聞かなくとも 分かってるはずなのに フフフ



お前は お金が余ってるようには見えぬが
何故 大切な金の石を みずうみに投げたのです?

なんとなく 女神さんに会えるような気がしてさ
すると 会えた
ごていねいに 2つの石を持って

ボクをためそうとしたんだ
アメとムチ いつものパターンで
もう何千年も飽きもせず そうやってきたんだろうね

でも ボクには 効かないよ
だってボクにとっては その石は
どちらも何の価値もないただの石コロだもの


女神は ため息まじりの小さな笑いとともに

なるほど… 分かりました
お前は 周りの世界が 見えていない
幼稚で愚かなナルシストなのですね






  1. 2017/07/05(水) 00:14:11|
  2. みずうみ

みずうみ 2



女神は 一瞬ゾッとするような冷たい眼差しで 
ボクを見ると


私は この世界で起こる
ありとあらゆる出来事を見ています

私は 全てを知っています

もう一度 聞きましょう
あなたの投げた石は?


ボクは 今度は女神の右手をしっかり指差して
ハッキリ答えた

その 光る金の石!!


女神は 哀れみの表情を浮かべ


愚かなる若者よ 私は 人間の欲望は否定しません
しかし 己を欺くことは 大きな罪です


そう言って 女神は 静かに又 みずうみの中へ 消えようとしました


フフフ 逃げるんだ 強欲な女神は!


!? … 何を言いだすのやら
逃げるのではありません
終わったのです

愚かなる若者よ お前はチャンスを棒に振ったのです


そんなクサい芝居しなくたって
その光る金の石が 欲しいならあげるよ
ボクはあんまり欲とかないんだ

その金で ネックレスとか作るといいかもね!
美しい女神さんに 似合うと思うよ


黙りなさい!


女神はまっすぐ若者の目を見据えています
ただその瞳は微かに震えていました






  1. 2017/07/04(火) 00:49:06|
  2. みずうみ
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