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She Said She Said by Sally

イラストコミック描いてます

いつも 突然に…



いつも 突然 彼はやってくるのです

しかも 真夜中に
いい迷惑ですが 彼は まるで意に介しません

” とッとと帰って!! " とか言うのですが

” バスの時間がね " とか 訳のわからないことばかり言います

仕方ないので この日も 朝までいろいろ話をしました

彼との 話だけは楽しいのです 本当にとんでもない知識量の持ち主ですから
泉のように よどみなく次から次に話が出てくるのです
この日も 時間を超え 空間を越え ある陰謀と言われる話の正体を明確に
解説してくれました

それはそれは もう眠気など軽々と吹き飛ばすお話でした

でもさすがに疲れてきました
外もだいぶ 白んできています


” …何か お腹がすいたね "

" あァ そろそろバスも動き出す バス亭の途中にある
喫茶店でモーニングでも頂こう "

" … こんな時間 さすがにまだやってないよォ "

しかし彼はさっさと玄関から 外に出ました

” 早くゥー " とか ホントにぶん殴りたくなります!!

服とか 出かける準備とかあるんですよ!! 普通の人には!!

まァ こんな時間だし 誰と会うわけでもないし
このまま 上着をひっかけるだけでいいか と

この時間帯の空気はとてもいいねェ などと言いつつ
彼は 歩き出しました

この方向に 喫茶店なんて

ありました  

その店に入ると 彼は カウンターの主人に ” モーニング二つ " と声をかけました

店の中は ひっそりとしていて
私たちの テーブルの斜め前には 四人の先客がいます

四人ともガッツリした体格で
全員 黒いスーツのような服を着て少し大きめの黒いサングラスをしています

彼は ” あれは 穴掘り隊だよ ” と言いました

” 穴掘り隊? ”

” そう 彼らはね 人々が寝静まった頃合いに音をたてないよう
ひそかに この世界のいたるところに 穴を掘っていくんだ "

" まァ 運の悪い人が ちょっと穴に落ちたり それでケガをしたりして
君たちは それを見て なんて下らない馬鹿げたことをするヤツがいるのかと
怒るわけだけど … 彼ら穴掘り隊の本当の目的は
そんな下らないいたずらなんかじゃない

この世界にとって とても重要なことを彼らは行っているんだ … ”

その時 なんとも 甘く美味しそうな匂いとともに
モーニングが 運ばれてきました

” まァ 穴掘り隊の話はかなり長くなる これは次回にして さァいただこう! ”

その モーニングは 厚めのトーストにコーヒーだけというシンプルなものですが
これが とびっきりのおいしさ!!

バターってこんなにも香ばしいものだったっけ
それに シナモン 蜂蜜も あァなんておいしい!!

その時 穴掘り隊のみなさんが 席を立ち
店を出て行こうとしています

私たちの横を通るとき
穴掘り隊のみなさんは 彼に軽く会釈していきました

” … 知り合いなの? "

" もちろん 私は有名人だからね!"

ったく どこで有名なのやら

静かにコーヒーを飲む彼を見て 私は思います

これから帰って寝たら
今日これまで聞いた話のほとんどを 私は忘れてしまうんだろうな …

これまで いろいろたくさんの話を彼から聞いてきた
それらを ちゃんと覚えていたら
この世界の仕組み 例えば 時間に生命 宇宙
ありとあらゆることをすべて明確に説明できるかもしれない

でも 本当に私は 記憶力が とんでもなく悪いのだ

私は 何度か彼の話を密かに録音してみようとしたことがある
うまくやったつもりだったけれど 結果はいつも同じ

何も録音されていなかった

IC レコーダーを使った時もそう
後で再生してみると それには
ただ時間が表示されるだけで 何の音も入っていなかった

でもね うすうす分かってきたわよ

あなたはたぶん この世界の記録係なんでしょう
この世界で起きて来たこと
ありとあらゆること全てを 明確に記憶してるんでしょう

でも あなたに与えられた役割は 記録することのみ!!
たまに息苦しくなって 誰かに喋りたくなる 吐き出したくなる

でもそれは 頭が良く行動力もある人間
これからの世界に大きく影響を与える人間では絶対に困る

それで ものぐさで 記憶力の鈍い私が
あなたのガス抜き役に選ばれたというわけ…

” そうなんでしょっ!? ” 私は睨みつけるよう彼に問いただした

” !? …突然 何の話 " 彼はしらを切るようです

全て お見通しのくせに…

" さて そろそろバスがやって来る 私はおいとまするとしよう
君はもう少しゆっくりしていくといい "

" 店を出て 左に行けば すぐに家に帰れる
右に行くと ちょっと厄介なことになるから まちがえないように "

そういうと私の手をとり三色ボールペンで
左手の甲に青いマルを 右手の甲に赤いバツを書きました

” フフ これで 迷うことはないよ ではまた!"

いたずらっぽい笑顔でそう言うと
彼は帰って行きました


私は 手の甲の印を見て …確かに言われただけなら後で迷ったかもしれない と思い
あァ やっぱりこんな私だから選ばれたんだと ちょっと情けなくなりました

店内にはもう 私一人 モーニングはとてもおいしかったけど
ここには 音楽も流れてないし なんとも静かで ちょっと落ち着かない

もう帰ることにしよう と席を立ち
あァ そういえばお勘定は?と思ったら

店の主人が カウンターの中から
人懐こい笑顔で " 気をつけておかえんなさい " と
手を 振ってくれた

私は 軽く会釈して 店の外に出た

ふゥ 左ね… いやここはちょっと右に行ってやろうかな
いろいろ厄介なことが起こるかもしれないけど
そんな 命を落とすようなこともないでしょう

でも その時にとんでもない睡魔が襲ってきて
私は一刻も早く家に帰って眠りたくなってきました

ハイハイ 左へ行くのね! イイ子はさっさと帰っておねんねですね!

そうして 私は家に向かって歩き始めたのでした



おしまい







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  1. 2018/11/08(木) 00:52:30|
  2. Short Story

よそで言っちゃダメだよ

リナおばさんに初めて会った人は 驚くかもしれないわね!
すっごいおしゃべりで とっても口が悪いの!

でも彼女をちゃんと知ると 心優しい人だってわかるわ

信じられないかもしれないけど ほんの何年か前まで
彼女はとても もの静かなOLで 周りに気を使いまくってね
それで体調を崩して 会社をやめてしまったの
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そんな彼女を救ったのが マシューさん
彼はこう言ったの

リナ 何も 気遣う必要はないよ 言いたいことを言ってさ
前に 映画のことを 話てくれたろ?
君がとっても 楽しそうに しゃべるんで 驚いたけど
ホント 楽しかったなァ

僕は 君の声も おしゃべりも大好きだよ!

そうして 二人は結婚して
リナは 毎日笑っておしゃべりして 元気になったの

マシューさんは とても無口な人なの
一人っ子のカギっこ だったからなんですって!

リナといるとにぎやかでいいよ
そんなマシューさんも 今では ひとつ口ぐせができたの

リナ それ よそで言っちゃダメだよ…
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  1. 2010/07/08(木) 19:01:14|
  2. Short Story
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